2010年12月16日木曜日

モノケロスの魔杖は穿つ 感想

伊都工平さんやっぱ好きだわー。
独特の魔法原理や世界観、よく見るファンタジーモノではあるんだけど、それだけじゃない。
細部にまでこだわった設定の数々には、毎回感心していしまいます。
魔法の説明なんてとくに凝っていて、いきなり新しい用語が出たりして読みにくいところもあるけれど、気になりませんでした。
それだけ物語に熱中していたってことなんですかね。




一見普通の世界で、どこも現実と変わらないはずなのに、主人公の立木ヒロはそこに違和感を覚えます。
そのきっかけとなったのが、真名辺麻奈との出会い。
彼女は魔法使いという、およそ現実ではありえないものであり、世界の真実の姿を彼に知らしめます。
その世界での日本は大陸の場所を南に移しており、さらに各地の小国へと分かれているというのです。今ヒロ達は天那志国(ムサシノクニ)と呼ばれる、関東の半分を占める国家におり、そこから物語が始まります。


設定が難解で理解するまで時間がかかりますが、それが物語の深みを出しています。
とくに斬新だと思ったのが国という設定。
作中では神と同義語となっており、発音上でもかみと言うことがあります。
国には最低限の構成要素があり、それぞれ王、騎士、魔術師、司祭の4つがそろうことで初めて成立します。
この国という設定が物語に大きくかかわっていくのですが、それは見てのお楽しみ。

この作家さんの作品には、他に
天槍の下のバシレイスという、こちらもまた崩壊した日本が舞台の物語を書いていました。
2巻で完結してしまっていますが、そのときからこの人の作品に興味を持つようになりました。面白かったのに残念です。


とにかく、読みにくくはあるけれど、モノケロスの魔杖は穿つは隠れた名作だと思っています。
・・・アマゾンのレビューでは辛辣な意見が多いですが、誇張している部分や間違っている所はありませんでした。ただ、あくまで全4巻を通した意見ではないので、早々に見切ってしまうのはもったいないと思います。
Xの魔王を面白いと思った方は、この作者の他の作品も合うかもしれません。
是非、読んでみることをオススメします!




モノケロスの魔杖は穿つ



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