2010年11月15日月曜日

イヴの時間 感想

ストーリー

おそらく未来の日本。
ロボットの実用化がされて久しく、アンドロイドが実用化されて間もない世界。

ロボット倫理委員会の影響で、人々はそれを”家電”として扱うことが社会常識となっていた。
頭上にあるリング以外は人間と全く変わらない外見に影響され、必要以上にアンドロイドに入れ込む人々を”ドリ系”と呼び、社会問題となっている。


高校生のリクオは、所有するハウスロイド「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのない行動を発見する。友人のマサキを誘って記録された場所に向かってみると、そこには「イヴの時間」という不思議な喫茶店があった。
そこに集う様々な人間やアンドロイド達との関わりの中で、それぞれが少しずつ影響を及ぼしあい、変わっていく。やがてそれは、外の世界へもかすかな、しかし確実に波紋を広げることとなる。



とても泣ける作品。
アンドロイドはアイザック・アシモフ氏の提唱するロボット工学三原則を忠実に守り、消して人間に危害を加えない。
しかし人間は彼らをまるで奴隷のように扱う。
少しでも擁護するとすぐにドリ系と呼ばれ問題視される現状では、アンドロイドを助けようとする人々は少数派にならざるをえません。

イヴの時間とは、お話の舞台となる喫茶店の名前です。
この場所でのルールは一つ。

「アンドロイドと人間を区別しない 」

ここではアンドロイドであることを示す頭の上の輪っかを消し、人間としてふるまえる場を提供しています。
主人公の高校生、リクオは自分のアンドロイドが指示していない行動履歴を見て、イヴの時間に辿りつきます。
そして彼は出会った人々が抱えている悩みを知り、自らも同じことで悩み、葛藤します。
アンドロイド達の、人を大切に思ってくれる心に彼はどう向き合っていくのか。


一番心に残っているのは、リクオとサミィのシーン。
リクオのアンドロイドはサミィと言うのですが、彼女の抱く悩みはリクオ自身に関することでした。
サミィは自分がリクオを思ってやっていることに、意味がないんじゃないかと思い悩み、リクオはそんなサミィの行動に疑問を覚え、彼女に探りを入れます。
その中でリクオは成長し、サミィの彼を思う行動に感謝するのですが、その中でサミィが見せた表情がかわいすぎて忘れられませんw

基本的にアンドロイドたちはイヴの時間でしか表情を動かしません。
そのギャップからか、無表情の彼らがイヴの時間で発する感情の動きはとても新鮮に映りました。
また外ではそういった表情しかできないアンドロイドに、自分を重ねてしまったりして、色々と考えさせられもしました。

色々な物語を読んだり見たりしていますが、こんなレベルの高い作品はあまりお目にかかれません。
是非、一度見てみることをお勧めします。


「イヴの時間 劇場版」 [DVD]



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